男装ホスト.Lie ~私の居場所~
「あ!こちら彼女さん?めっちゃ可愛えやん」
『え』
凌「…行くで、翔」
『わっ…』
「え、ちょっと…!!」
いきなり強く手を引かれ歩き出すものだから、思わず足がもつれそうになってしまった。
人当たり良いヒトなのに珍しい…
逃げるように人混みに混じり、無言でしばらく歩き続けたところで歩調が緩まった。
後ろをチラッと振り返ったが追ってくる様子は見られない。
凌「…はぁ、ごめんな」
『え?いえ、別に…』
凌「もー、せっかくのデートなのにいきなり邪魔されたし」
『雑誌って?』
凌「女の子向けのファッション誌みたいやな。名前だけ見た事ある」
『ふぅん…目立つ事好きそうなのに意外でした』
凌「そう?俺は別にええけど…あのままやと翔央にもカメラ向けてたからな」
『…困りますね』
凌「やろ?」
何だ、私のことも考えてくれてたのか。
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