男装ホスト.Lie ~私の居場所~
閉店後の控え室。
比呂さんを筆頭にみんなが帰る中、凌さんだけはソファーに横たわってゴロゴロしている。
…何してんねやこの人。
『…帰らないんですか?みんな帰っちゃいましたよ?』
凌「んー」
『…帰りますよ?』
凌「…なあ」
『はい?』
凌「隼人と知り合いだったん?」
『え、…ああさっきの』
凌「どうなん?」
『人違いですよ。…私じゃない』
凌「ほんまに?」
『はい』
凌「あとさ。誰が知ってんの?」
『…え?』
凌「お前が女やって」
『え、…っと…』
凌「誰にも言わんどくから」
『…凌さん、慎さん、雅さん、由樹さん…捺生さん、です』
凌「…了解」
『何なんですか?』
凌「いーや、ただの好奇心。…さ、帰ろっと」
『あ、じゃあ俺も帰ります』
凌「うん。…あ」
『はい?…ッ!!』
それは不意打ちだった。
一瞬の事で何がなんだか分からないけれど目の前に凌さんの顔があって、 唇に柔らかい感触があった。
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