男装ホスト.Lie ~私の居場所~
『っ…ぐすっ』
捺「…」
店を出てしばらく無言で歩き続ける。
すすり泣く声が後ろから聞こえてきて、こう言う場面に慣れてない自分はただ手を引く事しか出来ない。
『……捺生、さん』
捺「泣き止んだ?」
『ごめんなさい…』
捺「別に。…何で泣いてんねんお前」
『分からない、です…』
捺「分からんって」
『…でも、また捺生さんに嫌われるって…思ったら勝手に出てきて』
捺「はあ?…意味分からへん」
『俺、凌さんと別に何も…ないです、から』
捺「…」
『誤解、されたくないって…思ってッ』
ああ…泣き止んだと思ったのにまたコイツは。
捺「…ぶっさいくな顔」
『!!…今言う事ですか…?』
捺「余計不細工になんぞ。せめて笑ってた方がマシや。泣き止め」
『…はい』
誤解…か。
まあコイツがどういう奴か、って言うのはだいたい分かったし、今更男を誘惑して、なんて思わないけど。
問題は凌の方や。
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