男装ホスト.Lie ~私の居場所~
一人用、とは言っても大きめのサイズのベッドに二人で横たわる。
比「んな固くなるなや。男に囲まれて慣れてるやろ」
『慣れないです…』
比「適応力ないな」
『…』
男の人って言うか… 比呂さんだからこんなに緊張するのかも。
比「…失礼な事考えてへん?」
『はい!?』
比「犯すぞ」
『なっ』
言葉を失う私を比呂さんは体を向けしばらく無表情で見ていたが、不意に呆れたように溜め息をついた。
比「…あんな、お前隙あり過ぎやで。せやから凌に不意突かれんねん」
『え…』
比「お前が女やって事実は変わらへん。いくら打ち解けたと思っても油断したら痛い目見るで」
『…もう見ました』
比「傷つくのは圧倒的に女の方やねんから」
『はい…』
なんか、ホストらしからぬ発言やな…
『…比呂さんって優しいんですね』
比「俺はどうでもいい人間には気回さへん」
『どうでも良くないって思ってくれてるんですか?』
比「そりゃ、…まあ妹みたいなモンやな。晴樹は出来の悪い弟やし」
『そっか…』
比「あ、ちょっと今油断したやろ?」
『はい!?』
比「…冗談。ほら、寝んぞ。もう朝や」
『はい…』
布団越しにお腹に乗せられた比呂さんの手が静かにリズムを刻む。
だんだん目蓋が重くなり、夢に誘われる。
夢に落ちながら思った。
比呂さんも、お兄ちゃんなんやろな。
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