男装ホスト.Lie ~私の居場所~
状況が分からず、その場に座り込んでしまう。
何分くらい経ったのか…しばらくそうしていると、再びドアが開いて体がビクッと震えた。
比「…寝てるか」
今度こそ本当に、比呂さんだ。
安心したけど上手く声が出なくて、仕方なく無言で足首を掴んだ。
比「ひっ!?」
『…~っ!』
比「なっ、…何してくれてんねん!」
『比呂、さぁん…っ』
比「は!?何、泣いて…?ちょっ、とりあえず電気つけようや」
暗闇に慣れていた目に突然の光は刺激が強く、ギュッと目を瞑る。
ゆっくり目を開けると、腰を落とし視線を合わせる心配そうな顔が目に入った。
比「こんなとこで何?驚かそう思ったんか?」
『ち…違います』
比「じゃあ何?何で涙目やねん」
『さっき…さっき人が来て…』
比「は?捺生か?」
『ちが…』
比「…捺生以外にここ知る奴おらんで」
『…』
比「…それは?」
『あ…』
比呂さんに言われて思い出す。
さっきの人に渡された物…
自分の手の中にあるそれは、見覚えのある物だった。
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