男装ホスト.Lie ~私の居場所~
比「…写真?」
『渡されたんです…その、男の人に』
比「は?…お前用心しろ言うたのにドア開けたん?」
『違います!』
説教を喰らいそうな雰囲気に、慌てて事情を説明した。
比呂さんの知り合いじゃ、ない。
ならあの人は…?
比「なんで…鍵持ってた言う事か」
『はい、だからてっきり比呂さんやと思って』
比「顔は分からなかったか?」
『電気見つからなくて…』
比「俺と違うって、何で分かった?何か覚えとらんの?」
『あ、匂いが…香水が違ったんです。比呂さんの匂いじゃなかった』
比「…何の香水?」
『分かりません…ただ、誰かと同じだった。嗅いだ覚えはあって…』
比「…匂いだけか。そいつの目的はそれ渡す事だけやったんかな」
『…あと、迎えに来るとも』
比「…今はその時じゃないって事か?誰やねん。そもそも何で入って来れたんや」
『…』
比「もう…あんま動きたくなかってんけどな。仕方ない、とりあえず部屋変えてもらお」
『…』
比「おい。聞いてるか?」
『あ!はい、すみません』
意識は写真に奪われていた。
手元にあるのは、光輝さんの家で見た家族写真の写真盾。
何故これをさっきの人が、私に?
大事なモノ?
何の事?
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