男装ホスト.Lie ~私の居場所~




『光輝さん?いきなりどうしたんですか?』



光「…答えて」



『え…と、…はい』















あの店にいる時、あそこは私の居場所だと思う事が出来た。




だから、そこでなら幸せに触れていられる気がした。















『幸せ…です』



光「そ、っか。なら、良かったわ」



『光輝さん?』



光「ごめんな、君の用事は何やったっけ?」



『あ…あの、以前見せてもらった家族写真なんですけど…』



光「うん。…あれ?」



『そちらにあります?』



光「いや、…どこ行ったんやろ」



『じゃあやっぱりこれ…すみません!事情が俺にもよく分からんのですけど、俺の手元にあるんです』



光「え?そうなん?」



『すみません…ちょっとほんまに把握出来なくて、説明出来ないんですけど』



光「そっか。…じゃあそれもらってくれへん?」



『え?い、いやいや!無理です!大事なものなんですよね?』



光「うん。だから、莉依に持っててもらいたいねん」



『…でも』



光「…迷惑やったら、捨ててしまって構わないから」



『そ、そんな事しませんよ!…じゃあ、次会う時まで大切に持っておきます!…それでいいですか?』



光「…うん。ありがとう」



『光輝さん、本当にどうかしましたか?様子が…』



光「心配性やな、俺と一緒で。…君の幸せをずっと願ってるよ」



『…え?』



光「…昔も、これからも」



『…光輝、さん?』



光「おやすみ、莉依」



『あ、…おやすみ、なさい…』
























通話が切れた電話からは、無機質な音だけが鳴り続けた。






そして馬鹿な私はようやく気づく。




莉依と、彼は呼んだ。



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