男装ホスト.Lie ~私の居場所~
隼「…りぃ」
『…へ?』
隼「会いたかった…」
『え、隼人さ…ぁっ!』
手を引かれ次の瞬間には隼人さんの腕の中に私はいた。
頭がぐるぐるする。
全然理解出来ない。
『は、隼人さん!どうしたんですか?』
隼「…良かった。ほんまに…」
上から聞こえる隼人さんの声は弱々しくて、泣いている様にも聞こえた。
隼「…ごめんな、いきなり」
『え…いえ』
しばらくして解放された私は緊張して隼人さんと対峙していた。
『あの…りぃって…?』
隼「…覚えてないか。せやろな」
『?』
隼「昔、一緒に遊んだろ?」
『…え?』
隼「俺はお前を“りぃ”って呼んでた。お前が自分をそう呼んでたからな」
『…』
隼「お前は俺を“シュン君”って呼んでた。ブランコがある公園が、待ち合わせ場所だった」
遠い目をして話す隼人さんの横顔を眺める。
いつの話かも、検討すらつかない。
人、違いじゃ…ないの?
『…』
隼「まだ思い出されへん?」
『…えと、人違いじゃ、』
隼「…間違いないよ」
『なぜ?』
隼「こめかみのホクロ。…それも偶然って言うなら背中の傷跡」
『……!』
隼「…残ってるんやろ?」
知らないはずなのに。
見られるはずないのに。
…何で傷跡があると知っている…?
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