男装ホスト.Lie ~私の居場所~
隼「…俺は見た目こんなんやし、先輩に目ぇつけられる事も多くてさ」
…目つきが悪い、生意気だ。
難癖付けられて、呼び出される事なんかしょっちゅうの中学生やった。
教師からのウケも良くなくて、自分で自分を守るしかなかった。
気づいた時には喧嘩は強くなってたし、呼び出しの回数は減った。
その変わり、腕試しに喧嘩ふっかけてくる他校のヤツは増えて。
晴れて不良の仲間入りや。
気の休まる時なんてなかった。
…その日は、珍しく俺がボロボロやった。
多勢に無勢で、ボコボコにされて。
公園で、血を洗い流してた時やった。
『怪我してんの?』
同級生ですら話かけない俺に、小学生であろう女の子が臆する事なく話掛けてきた。
隼「…ちょっとな」
『喧嘩したの?』
隼「喧嘩…まあ」
『そっか…』
何故かそいつは悲しそうな顔をして俯くもんだから、思わず問いかけた。
隼「…何でお前がそんな顔すんねん」
『だって…かわいそう』
隼「は?」
かわいそう、なんてこんな見ず知らずのガキに言われると思わなくて、思わず笑ってしまった。
そんな俺の顔をきょとんとあいつの顔が見上げていた。
…それが、りぃとの出会い。
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