男装ホスト.Lie ~私の居場所~
その日もいつも通り、約束の公園に向かった。
りぃの場所だったブランコにあいつの姿は無く、今日は俺が先かな、なんて思ってその場所に腰掛けた。
…30分経ったか。
今までの荒んだ生活が一変した、とまでは言わへんけど、こうも変わるもんやな。
足元の影を眺めながらぼーっと考えていた。
…と、影が誰かの足に踏まれた。
顔を見上げると、そこには真っ赤な目をしたりぃが居た。
雅「…お前どないしてんその顔!」
『…』
動揺する俺になんでもない、と呟きりぃは隣のブランコに腰掛けた。
何でもなくなんて無い事を、真っ赤な目と頬が物語っていた。
隼「…取り敢えずその頬。冷やした方がええ、腫れてるから」
『大丈夫だよ、痛くない』
隼「ええから。黙って言う通りにしとけ」
『…』
隼「…ちょっと待ってろ」
タオルを濡らして頬に当ててやると、りぃは冷たい、と呟きそっと笑った。
その笑顔に少しほっとしてまた隣に腰掛ける。
隼「…何があったんや?」
『…転んだの』
隼「…」
嘘が下手な奴。
隼「…そう言えばな、」
『うん?』
けど、本人が話したがらないのを無理に聞き出すつもりは無くて、
ただ笑って欲しくて俺は話し続けた。
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