男装ホスト.Lie ~私の居場所~




隼「…それから、誰かが警察と救急車、呼んでくれて。俺は素行も悪かったし、警察に事情聴取の為しょっぴかれた。見舞いに行きたかったけど、教えてくれんくて、…あの後何度も公園に通ったけど、りぃとは…お前には、二度と会えなかった」



『…』



隼「まだ、…思い出せない?」














長い話の後、そう言い悲しげに私の顔を覗き込む隼人さんは、あの時の優しい目をしたシュン君だった。




不意に涙が頬を伝う。




ああ、何でこんな1日に何回も私は泣いてるんだろう。















隼「!!…何で、泣くねん!」



『…出した…。…思い、出したよ…』



隼「…そ、…っか…」



『ありがとう…』



隼「なっ…何がやねん!」



『…私、覚えてる…ちゃんと、覚えてるから、』



















…母親が自分に手を上げるようになったのはいつからだろう。



物心ついた時は父も兄も居なくて母と二人暮らし。



優しい人だった。



故に、彼女は壊れてしまった。







シュン君は、その頃の私の支えだった。



何故かクラスからも孤立しぎみの自分には学校も居心地が悪い物でしかなかった。



彼に会えるあの公園が、私の寄りどころだった。










…母親がシュン君に刃を向けた時、咄嗟に庇ったのは彼女に自分以外の人を傷つけて欲しくなかったから。



それを知ってか、知らずか。



…警察に事情を聞かれた時、私は思わず母親を庇った。これは事故の結果だと。



そんな子供の嘘が通用する訳がなかった。



なのに、母親は咎められなかった。



精神的な問題もある、けど一番は。



シュン君は、100%母親が不利なあの状況を、その通りに証言しなかった。



…それが、自分に不利な状況を作ろうとも。







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