男装ホスト.Lie ~私の居場所~
捺「…守りたいものが増えた、か」
あの日、慎が呟いた言葉の真意を俺はまだ計りきれずにいる。
ずっとあいつが夢見ていた、自分の理想の店。
それは自分が心底信用出来る仲間ありきのものであって、店の為に人を見捨てる、と言うのは腑に落ちない。
何を一人で抱えて惑わされているのか―
俺には分からない。
けど、確かに慎は俺かアイツかどちらかの家のヤツに何かを握られていて、
結果それは莉依の居場所を奪おうとしている。
捺「…甘え過ぎてたのも事実やな」
家を出た俺が慎に拾われて、それから…もう何年経つか。
あの時慎は言った。
“捨て猫とか拾ってまうタチやねん。だから気にせんと好きなだけ、ずっとここに居ろ―”
それにずっと、俺は甘えてた。
莉依に前、お前の居場所は守ると約束した。
居場所は守れそうに無い、けど。
お前の自由はお前が守る。
それじゃ、あかんかな。
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