男装ホスト.Lie ~私の居場所~
『…捺生、さん?』
捺「…よう」
起きたみたいやな。
…少しだけ、目が赤い。
捺「…泣いたんか」
『え?…あ、ちょっとだけ』
そう言って恥ずかしそうに笑う莉依に違和感を感じる。
すっきりした、…何かを吹っ切った様な表情だったから。
捺「…寝てるとこ勝手に入って悪かったな」
『え?あ、いえ!』
捺「…」
『…えっと、捺生さんも仕事上がりですか?』
捺「あ?いや、慎とやり合って謹慎中」
『は!?だ、大丈夫なんですか!』
大丈夫なんですかって…人の事心配してる場合か。
思わずため息をつくとそれを悪い状況なんだと勘違いしたらしく、心配そうな、泣きそうな表情を俺に向けた。
『それって自分のせい、ですよね…』
捺「は?」
『…すみません』
捺「勘違いすなや。誰がお前の為やと言った」
『…すみません』
捺「…」
目の前の莉依は余計うなだれてしまった。
…こんな時、口下手な自分が嫌でたまらなくなる。
お前のせいとちゃう、って言いたかっただけなんやけどな。
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