男装ホスト.Lie ~私の居場所~





捺「…俺の心配は無用や。とりあえず、今日ここを出る。出来れば今すぐにでも」



『え…』



捺「一時間待つ。一時間したら迎えに来るからそれまでに出られる用意しといて」



『どこに…行くつもりですか?』



捺「…とにかく、この土地を離れる」



『でも、』



捺「ガキやないんやからどこへでも行ける。自分が望み続けてる限り、お前は自由や」



『…』



捺「ほな、俺は下のラウンジに居るからきっかり一時間後に迎えに…」



『…行けません』



捺「…は?」



『私は、行けません』


















二度目のきっぱりしたその返事が、やけにはっきり聞こえた。




行けない?




断れるなんて考えてもいなかった俺は、少なからずショックを受けている。




それがまた、衝撃だった。










.
< 326 / 443 >

この作品をシェア

pagetop