男装ホスト.Lie ~私の居場所~
捺「…俺の心配は無用や。とりあえず、今日ここを出る。出来れば今すぐにでも」
『え…』
捺「一時間待つ。一時間したら迎えに来るからそれまでに出られる用意しといて」
『どこに…行くつもりですか?』
捺「…とにかく、この土地を離れる」
『でも、』
捺「ガキやないんやからどこへでも行ける。自分が望み続けてる限り、お前は自由や」
『…』
捺「ほな、俺は下のラウンジに居るからきっかり一時間後に迎えに…」
『…行けません』
捺「…は?」
『私は、行けません』
二度目のきっぱりしたその返事が、やけにはっきり聞こえた。
行けない?
断れるなんて考えてもいなかった俺は、少なからずショックを受けている。
それがまた、衝撃だった。
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