男装ホスト.Lie ～私の居場所～

捺「…行けないってどう言う事やねん」








かすれた声が、情けなく響いた。








『そのままの、意味です』



捺「何で…行かんでどうするつもりや」



『家に…戻ろうと思います』



捺「…五十嵐の？」



『はい。…私の帰る家はあそこしかありませんから』



捺「…」








いろいろな感情が込み上げる。



本当に、色々な。



それが声に乗らないように、必死に自分を抑えた。








捺「もう…駒にはならないって、お前言ったよな」



『…』



捺「道具にはならないって、自由になりたいって…言ったのは本心やろ」



『…はい』



捺「だったら、」



『でももう。…決めたんです』









そうか。
さっきの違和感はこれか。




もう吹っ切ってしまったんだ、こいつは。




















捺「…何で」









頭の中で何かが、切れた。









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