男装ホスト.Lie ~私の居場所~




比「皆、聞きたい事は色々あると思うけど……お?」








不意にフロアと控え室を繋ぐ扉が開く。


俺は言いかけた言葉を止め、扉に目をやった。








捺「…何の集会やねん」



比「捺生…何しにきてん」








言葉が被る。




まさか店に来るなんて思わなくて、ついそんな言い方をしてしまった。









捺「邪魔なら帰る」



比「いや、そう言うわけちゃうねん」



捺「俺も伝言しに来ただけやから」



比「伝言?」









捺生はそう言うと、慎さんに顔を向けた。








捺「あいつ…翔央から。今までお世話になりました、とさ」



慎「…は?」



捺「お前らにも。ありがとう、って」



晴「…どういう意味ですか」



捺「あいつ家出しててん。戻るんやて」



比「な…止め、なかったのか」











淡々と何でも無い様に言う捺生に、つい突っかかる様な口調になってしまう。



慎さんはその報告にか、それとも捺生の様子にか、動揺した表情を隠さない。



また、他の奴らも。



平静では居られないらしかった。








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