男装ホスト.Lie ~私の居場所~




捺「…慎から」



雅「はい?」



捺「それとあいつの、…翔央の家から」










慎さんに集まった視線が捺生さんに移る。


訳が分からない、彼女が女性だと知っていた俺と由樹さえも。










由「ちゃんと説明して?」



捺「家出してた翔央を、慎が五十嵐に売った。店の存続と引き換え、…せやな?」



慎「…ああ」










慎さんが?



何かいまいちピンと来ない。



慎さんならむしろ、守る側に立つ様な人なのに。



“人間的に気に入った”と言い切る程、一度は目に掛けた翔央の事なら尚更。





…ああ、この前の捺生さんと慎さんの言い争いはこの件の事か。





そんな事を思い出す。



…と、比呂さんが口を開いた。










比「…何で否定しないんすか」



慎「…ほんまの事を、別に否定なんか今更」



晴「慎さんが売ったんですか?翔央を?一度は引き込んでおいて?」



由「…無責任な」



慎「…何言われても仕方ないと思ってるよ。こんな俺について行かれへんって奴は店を辞めてくれても構わない」



雅「…慎さんがそんななら、ほんまに俺ら辞めますよ」



慎「…ああ」



由「何か…がっかりやな」










…本当に、もう終わりなんやろか。




そう思った時、再び比呂さんが話し出した。










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