男装ホスト.Lie ~私の居場所~
帰り途中、慎さんの家に寄らせてもらい、私は男に戻った。
慎「その荷物、どうする?」
『うーん…大丈夫、持って帰れます。頑丈に包装してもらったし』
慎「そか、なら近くまで送るな」
『何から何まですみません』
慎「や、俺が勝手にした事やし」
そしてマンションへ向かう車に乗り込んだ。
ちょっと寂しい…なんて思うのは弱い証拠かな?
慎「…あ、せや」
思い出したように慎さんが口を開いた。
慎「捺生には…気ぃつけや」
『え?』
今日1日忘れていた名前、思い掛けない人物の話題に目を丸くしてしまう。
『ど…いう、意味ですか…?』
慎「アイツは鼻が利くから。…まぁいい奴やねんけどな?」
『俺…嫌われてる気がするんですよね』
慎「…それはお前の気のせいやて!ま、念の為に言っただけやから気にせんといて?」
『…』
一気に気分が萎んだ。
でも…どうせなら仲良くなりたい。
嫌われるのは苦手やから。
慎「…ほな、また明日」
『はい、ありがとうございました』
遠ざかる慎さんの車を見送りながら、明日からの生活に思いを馳せた。
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