男装ホスト.Lie ~私の居場所~




今夜はたまたま新月。



屋敷は煌々と光っていたけど、広い庭は闇で覆われていた。








晴「これじゃ見取り図見えへん…」



由「大丈夫、俺の頭に入ってるから。こっち」








由樹さんに手を引かれ進む。



今夜の由樹さんは頼もしいな。







…そんなこんなで庭を抜け屋敷の裏に回り込んだ。



部屋の数は多そうだけど、明かりが付いているのはわずかだった。












由「…この木から登れってか」







明かりが付いてる部屋のちょうど目の前には慎さんが言う通り木があった。



幹が太くて登りやすそうだとは思えない。









晴「これどうやって…あ、由樹さん?」



由「待ってて」








そう言うとあっと言う間に木に登ってしまった由樹さん。









晴「由樹さん…猿みたい」



由「違う褒め方あるやろ」








由樹さんが降ろしてくれたロープを駆使して自分も木に上がった。



ベランダまでは枝を伝って届くかどうか微妙な距離。



これ、いけんのかな…













由「思った以上に離れてんな」



晴「はい…飛び移ります?」



由「…五分五分やな」



晴「じゃあ俺が行きます」














うん、すぐそこに翔央がいるなら。



不可能な事なんて何も無い気がした。











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