男装ホスト.Lie ~私の居場所~
その後の事はよく覚えていない。
気づけば店にいて、比呂さんと由樹さんの怒声をどこか遠くで聞いていた。
慎「落ち着け二人共。……そう言えば思い当たる節はいくらでもあったな」
雅「思い当たる節?」
慎「お前が莉依匿ってる事も知ってた」
雅「…そうなんや」
晴「翔央が倒れた時、むっちゃ心配そうでいつもと違ってたな…」
隼「ホテルの場所知ってたのも調べてたからか」
比「ほんまに…喰えない奴とは思ってたけど…っ」
今までの生活が思い返される。
家に勝手に入って来てうちでゴロゴロする凌さん。
無邪気に飯を頬張る凌さん。
…今考えたら、それも翔央と俺を二人にしないため?
優しくしてくれたのも、全部嘘…?
そうとは、思いたくない。
晴「…そもそも二人は知り合いやったんかな」
今日も一緒いたし。
昔からお世話になってるって言ってたし。
…翔央は知ってたのかな。翔央も知らなかったのかな。
慎「…俺の監督不行き届きや。すまん」
比「あんたがどうこう出来たレベルちゃうでしょ」
隼「俺を騙すたぁ良い度胸やな凌…」
雅「…」
分からない。
きっとここにいる誰にも、分からない。
晴「二人を取り戻すにはどうしたら、いいんやろ…?」
無意識に吐き出した俺の問いに室内は静まり、誰のものとも分からないため息が響いた。
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