男装ホスト.Lie ~私の居場所~
会話が無いまま迎えの車に乗り込み、懐かしさを微塵も感じない“我が家”に帰った。
迎えてくれた使用人の顔ぶれは私が知るものとは違っていて、さらにそれが私が以前ここに居た事実を薄めていた。
自分の部屋にとあてがわれた部屋に着く。
私のものであって私のものでは決して無い自室。
落ち着く事を許されない部屋。
…私がここに居る意味が分からない。
凌「菜穂様、どうかなさいましたか」
『…』
凌「菜穂様」
『…あ、…私か』
そうだ、“私”は“五十嵐菜穂”。
だから、ここにいる。
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