男装ホスト.Lie ~私の居場所~



会話が無いまま迎えの車に乗り込み、懐かしさを微塵も感じない“我が家”に帰った。



迎えてくれた使用人の顔ぶれは私が知るものとは違っていて、さらにそれが私が以前ここに居た事実を薄めていた。











自分の部屋にとあてがわれた部屋に着く。



私のものであって私のものでは決して無い自室。



落ち着く事を許されない部屋。



…私がここに居る意味が分からない。

















凌「菜穂様、どうかなさいましたか」



『…』



凌「菜穂様」



『…あ、…私か』














そうだ、“私”は“五十嵐菜穂”。



だから、ここにいる。


















.
< 369 / 443 >

この作品をシェア

pagetop