男装ホスト.Lie ~私の居場所~
ほんまにあの雑誌のせいで俺は悠さんの信用を失い、莉依の居場所は知られ。
…まあ悠さんの俺への信頼なんて前々から無に等しかったけど、それにしてもあの記者共。
どうしてやろうか。
真夜中、カタッと莉依の部屋で物音が聞こえる。
また眠れないんだろうか。
この家に戻ってきてから毎晩、夜中に目を覚ましている様だ。
凌「…菜穂様」
『!……何ですか、こんな時間に』
凌「眠れませんか」
『…うるさかったですか?』
凌「添い寝してさしあげましょうか」
『…結構です』
凌「遠慮は無用です」
『遠慮とかじゃ、ちょっと…!』
凌「もう少しそっちへ行ってください」
『凌さんっ!』
凌「七瀬、です」
『っ…』
男の力に勝てるはずも無く、されるがままにされてしまい戸惑いを隠さない莉依に思わず笑ってしまった。
凌「…ぷっ」
『…え』
凌「いや…ほら、おとなしくしてください」
『だって…!』
凌「いいから」
すっぽり胸に納まるその小ささが懐かしく、悠さんに見られたらクビものやな、なんて思いながら目を閉じる。
頭を撫でるうちに諦めたのか、大人しくなった莉依は静かに寝息を立て始めた。
その音を聞いているうちに瞼が重くなり、自分も最近よく寝ていなかった事に気づく。
…やばい。
ほんまに寝る…。
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