男装ホスト.Lie ~私の居場所~




凌「…ああ、あと一つ。これは来週の話なのですが」



『はい?』








いつもの通り、スケジュールの確認に来た凌さんが言葉を続けた。








凌「来週月曜日の夜、藤原捺生様と会食の予定が入っております」



『…は?』



凌「くれぐれも失礼の無いよう、と旦那様が。私も同行させていただきます」



『ちょ…ちょっと待ってください!捺生さんが?店に残ってるんじゃ…』



凌「いえ。実家に戻られた様ですよ。家の相続にも前向きに検討中だとか」



『な…んで?』









俺はあいつの駒にはならない―




そう言っていた捺生さんの横顔が浮かんで消えた。




私がここへ戻った意味は? 捺生さんが自由に生きる為の足枷にならない事がその理由の一つでもあったのに。









凌「…菜穂様?」



『…会食って、どうすれば良いんですか?』



凌「先方からのお話ですので。ただ、夕食を一緒にとっていただいて、談話して…何も気張らなくとも大丈夫ですよ」



『…』



凌「また詳しい事は当日にでも。では夕食の準備が整いましたらお呼び致します」














返事をする事も忘れ、ぼうっと考える。



何がどうなっているんだと。










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