男装ホスト.Lie ~私の居場所~
何度思っただろう。
何度逃げ出しただろう。
その度にいつも、引き戻しに来たのは誰だと言うんだ。
『…私を試しているんですか?』
悠「と、いうと?」
『もう逃げ出したりしませんよ。悠さんが心配する事は何もありません』
悠「…俺はお前の本心を」
『本心も何も…ご心配おかけする様な行動ばかりしていた事は謝ります。けど…もう二度とこちら側に迷惑は、』
悠「…もういい」
『…』
遮る様に悠さんはそう呟いた。
私の気のせいか。
悠さんの声が寂しげに聞こえた。
悠「もう、いい。夜中にすまなかった。…おやすみ」
『…はい』
もう一度そう言い、彼は静かに部屋を出て行った。
後には静かな闇だけが残る。
『何やねん…』
何であの人があんな顔をするんだ。
傷ついた様な、あんな表情-…
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