男装ホスト.Lie ~私の居場所~




「失礼します捺生様。お電話です」


捺「ん…誰」


「五十嵐悠様からでございます」


捺「五十嵐悠?何用や。…っと、ええわ自分で聞く」


「二番です」


捺「分かった」


「失礼します」











夜中だった。






帰るなりそれまでの言い訳をさせるでも無く罵倒する訳でもなく、親父は仕事を俺に押し付ける事で家に迎え入れた。



面倒な説明が省けたのは助かったけど、代わりにこうして寝れない日々が続いている。












五十嵐悠とは面識は無かった。



婚約に関して無関心らしくそれは婚約を持ちかけてきた五十嵐頭首と同じ。



必要以上に関わってくるような人物には思えなかったんやけど。



それだけに、気になった。

















捺「はい、お電話替わりました。藤原捺生です」


悠「…妹が世話になった」


捺「いえ、こちらこそ」


悠「七瀬…うちの執事から話を聞いた。今まで停滞していた婚約を正式に進めたいと?」


捺「ええ。やっと覚悟が出来たんで」


悠「覚悟…。無駄な覚悟だったな」


捺「はぁ」
















これだけの会話で分かることがただ一つ。




俺、こいつの事好かん。














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