男装ホスト.Lie ~私の居場所~




慎「…何、雅」



雅「…これはまだ正式にされた発表とは違うんですけど」



慎「…?」













出勤すると、珍しく皆より早く店には雅が居った。



複雑な表情からその口から出る言葉に不安を覚える。












雅「関係者に藤原家と五十嵐家の婚約パーティーの招待状が近々送られるらしいって」



慎「…捺生と莉依の?」



雅「はい」



慎「捺生…まじか」













捺生はその為に店を出たのか、と納得する反面、正直驚いた。




捺生がそこまでするなんて、と。











雅「どう、思います?」



慎「…ん?」



雅「捺生さんと結婚して五十嵐家から解放、何不自由ない暮らしが保証されハッピーエンドか」



慎「…」



雅「けど、自由は奪われる。捺生さんも莉依ちゃんも」



慎「自由…な」



雅「ああいう家で生きるって事は、そう言うことです」



慎「…ん」














俺には想像する事しか出来ないけど。




雅には解るんやろな。




こいつも家からドロップアウトした組やと聞いた事がある。














雅「…そもそも莉依ちゃんは他人の人生を背負って生きてる。そのまま結婚なんかしたら一生逃げられんくなると思いませんか?」



慎「そうかも分からんな」









かと言って、それをどう本人が思ってるかなんて俺たちには分からない。







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