男装ホスト.Lie ~私の居場所~
二人とも無言で時間と風景だけが変わっていく。それが、全然嫌じゃなかった。
いつからこの人の隣でこんなに穏やかな気持ちになれる様になったんやろう。
少し…本当にほんの少し前まではあんなに、同じ空間にいる事が息苦しかったのに。
それは、今の帰る場所が息苦しい事への反動なのか、それとも。
捺生さんに対する私の気持ちが変わったからか。
『...』
いやいや、そんな…。
好きって言われたかて、そんなん鵜呑みにしてへんし、それにだから好きになるって事ないし…。
一人で勝手に思いを巡らせて、勝手に動揺している自分が恥ずかしい。
これじゃ、まるで…
捺「…何、一人で百面相してんねん」
『へっ』
捺「…相変わらず変な奴」
『相変わらずって…』
これじゃ、完璧に私の方が相手を意識してるみたい。
…みたい、じゃなくて実際そうなんやろう。
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