男装ホスト.Lie ~私の居場所~
捺「着いたで」
『あ、はい』
言われて車をおりると、静かな佇まいの日本家屋が建っていた。
料亭、というには庶民的な…どことなく暖かい、お店。
捺生さんの後に続いて店に入ると、人の良さそうなおばあさんが出迎えてくれた。
あら久しぶり、と捺生さんに声を掛け、その後私に目を向けるとにっこり微笑む。
「はじめまして。貴女、捺生ちゃんの彼女さん?」
『へ…っ?』
「いや、女の子と二人なんて始めてやから…ふふ、やっぱり貴方、お父様に似てメンクイね?」
捺「うっさい。彼女ちゃうわ。いいから仕事してや」
「あら、怒られてもうた。はいはい、ほなこちら。どうぞ」
クスクスとからかう様な口調の女将?さん。
捺生さんも、うんざりした様な顔はしてるけど、嫌そうではなかった。
昔からの顔馴染み…なのかな。
個室に通され、向かい合って座る。
何だか急に、緊張してきてしまった。
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