男装ホスト.Lie ~私の居場所~
捺「なら、いいんやけど。…あとさ」
『はい、何ですか?』
捺「あれ、…お前の兄貴。あれは大丈夫か?」
『悠さんですか?大丈夫ってどういう…』
話を促そうとした時、急に自室のドアが開いた。
驚いて後ろを振り返るとそこには悠さんと、気を遣って部屋から出てくれていた凌さんの姿があった。
『な、どうしたんですか?』
悠「…誰との電話だ」
『え?』
悠「誰と話していると、聞いている」
凄みのある声で聞かれ、固まってしまう。
…と、凌さんの手が悠さんの歩みを止める様に私の目の前に伸びた。
凌「…ノックもせずに。菜穂様が驚かれています。何だというんですか、電話中だと申し上げたくらいで」
悠「相手は誰だと聞いている。…藤原か?それともあの店の奴らか」
凌「藤原さんですよ。それが、何だと…」
悠「菜穂、貸しなさい」
『え?っあ…』
悠さんは凌さんを押しやり、強引に私が持っていた携帯を取り上げた。
『ちょっ…』
悠「…どういうつもりだ」
取り返そうとする私を制して話し始める。
どういうつもりだ、って、私は彼にそれを聞きたい。
悠「この前話はしただろう。もうこの子に関わるな」
『…?!』
どういう意味なのか、私には分からなかった。
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