男装ホスト.Lie ~私の居場所~




あの人は、壊れている。










菜穂が俺にそう告げたのは、俺をただの使用人の息子だと思っていたから。



そしてあいつが俺に好意を寄せていて、俺も菜穂の事が好きだと、少なからず本人に思わせる程度に接してきたからこそある程度の信頼を得ていた。








たかが同年代の地位も自分より低い奴に言った所で救われるなんて菜穂も思っていなかっただろう。



ただ、慰めて共感して欲しかった。
支えて欲しかった。



…それだけだった。
















…でも、俺は。





俺は助けてやった。
菜穂の望む通り実兄の手が届かない所へあいつを逃がしてやった。



















全ては五十嵐の家を中から崩す為に。



俺が、その頂点に立つ為に。















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