男装ホスト.Lie ~私の居場所~





凌「私は使用人の子供であり、五十嵐当主の隠し子です」



捺「…?!」



凌「今ではその事実を知っているのは旦那様だけです。私の母はそれを私に教える事無く死にました。私はその事実を、私を育ててくれた男に聞きました。…その人ももう亡くなっています」



捺「…」



凌「物心ついた時から離れに暮らしていました。時たま顔を合わせる五十嵐の兄妹を見るのは不快でしたね、実の父を知ってから特に」



捺「父親の事を憎んでるん?」



凌「そんなんじゃないですよ。ただ、悠さんから奪ってやろうと思って。大事な物も、自分の物だと思い込んでいる物も」



捺「…本物の五十嵐菜穂をどうした」



凌「やだな。そんな怖い顔しないでくださいよ。…殺しちゃいない」



捺「当たり前や!」



凌「ふふ、落ち着いてください。

菜穂は大人しそうな顔をして、結構な性格をしていた。どちらかと言えば素行は悪かった。だから私が焚き付けた裏の人間に同調するなんて容易かったんですよ。

日本にいるとは思えないけど、きっと女を武器に楽しく暮らしてるんじゃないですか?」

















自分の人生を賭けたこの勝負。
一点の歪みもないはずだった。
俺と五十嵐の家の者達だけで完結するはずだった。





…なのに。





関係の無い女の子の人生を巻き込む事になるなんて、とんだ誤算だった。












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