寝言
「ん、あおい、」

どきり、とした。私の名は葵。

彼は寝言で私の名を呼んだ。

とても愛しそうに呼んでくれたことが嬉しくて、思わず可愛い寝顔にキスをした。

「ん、あおい?いまなんじ?」

寝ぼけた彼が私に問いかける。

「おはよう。今は22時半よ。」

「ごめん、俺寝てた。って、どした?なんで笑ってんの?」

不思議そうに首を傾ける健介に、少し意地悪を仕掛けてみた。

「だって健介よだれ垂らしてるから」

「嘘っ?!」

一人慌てる健介が面白い。

「嘘。」

「あーおーいー!」

可愛いふくれっ面に微笑んで、食卓に誘った。

「なあに?ご飯出来てるよ。」

「食べる食べる食べる!」

案の定彼は空腹のようだった。
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