王子様なんか大っキライ!
あの夏の日





「はい、ではまた明日」


先生のそんな声は、けたたましいチャイムの音にかき消されて聞こえない。

学校の一日の終わりを告げるチャイム。
私が大好きな音。

椅子から立ち上がると、
軽く駆け足をして教室を出た。

廊下では壁に寄りかかって立ち話をする生徒たちが、いくつかいる。
通行には支障はないが邪魔だ。
単純に邪魔だ。

「チっ」
人に聞こえないくらいの舌打ちをしてみる。




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