王子様なんか大っキライ!
「うわっ」

男は思わず顔を抑えてうずくまる。でかい体を丸めて、おびえる子供のような格好だ。黒沢は男のガラ空きになった後頭部をにらみつける。


そして踵を落とした。全く躊躇せず。
踵が後頭部にヒットした瞬間、音は鳴らなかった。
男の全身から力が抜けた。
ピアノ線を切られた人形のようにうつぶせになる。

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