王子様なんか大っキライ!
いつのまにか目の前に教師がいる。
彼女はマスカラがたまった睫毛をシパシパさせて、私を睨みつける。
「荒川さん、あんた」
「すいません」
私は頭を下げると、すぐに走り出した。

「待ちなさい!」
先生の叫びはドアを閉める音に、掻き消された。
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