王子様なんか大っキライ!
門を抜け、車道に追いやられた狭い歩道を走る。
真っ黒なコンクリートは灼熱でローファーに張り付いてくるみたいだ。

私は余計に足を高くあげた。すると横目に田んぼが見えてきた。
地平線にまで広がる田んぼ。
こんな景色を眺めながら、さとみと語りあったっけ。

思い出に浸りたくなる自分を振り払い、ただ前を見つめる。駅まではあと少し。
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