王子様なんか大っキライ!
「うわっ」

神内は吹き飛んだ。奴の体は床に倒れこみ、
ドカっという音がした。その音がドアを閉じる音と重なっていく。


「夕佳ちゃん!」
「さとみ!」

さとみは奥のベッドに座っていた。
彼女は制服を着ていて髪型も普段とは変わらない。
ただ私を見つめる目はおびえていた。

「さとみ、早くこっちに来るんだ!逃げるよ」
「でも…」
「早く!」
力いっぱいの叫び声。

しかしさとみはベッドに座ったまま動けない。


いや、もしかして動かないのか。

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