弟のくせに...。


「女ってさぁ、ヒーローが出ると運命だって感じちゃうんだよね。なんでそんなに簡単に感じられるんだか不明だけどさ」


……コイツ、誰ですか?

この生意気な奴、誰ですか?

本当にあの翼くんの弟ですか?


「なにかと騒いで、二回目に会うともっと運命感じちゃって、いつの間にか好きになってたとかほざきやがって、マジウザい」


次から次へと出てくる暴言を唖然と聞いているうちにも、彼の言葉は止まらない。


「なんでそんなに惚れやすくなれるんだか。結局そういう目でしか見てないのかよ?」

「違うよ!!」


あたしは、いつの間にか叫んでいた。


「女の子はいつでも必死なんだよ!好きになったら止まらない、振り向いてほしくて、自分を見てほしくて……だからそんなこと言わないでよ!!」

「男だって振り向いてほしくて必死になってんだよ!」


返ってきた彼の言葉は、意外なものだった。


「結局女ってのは自分勝手なんだ。友達だって平気で裏切る。……だいたいそうだろ……」

「だったらあたしは裏切らない!」
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