弟のくせに...。
あたしは届くんが言いたいことって言うのが全く分からない。
女の子をナメてるってよりは、自分がそう思い込んでるような気がして……。
「あたし、届くんの……届の女の子の印象を変える!」
「……何言ってんの?」
「だから、これからよろしくね」
この時のあたしは、すでに気持ちが揺らいでいたのかもしれない。
ちょっぴりこのヒーローに、心を奪われかけてたのかもしれない。
なんでもない人になんて、こんなこと言わなかったと思う。
「だから、帰ろっ♪」
「は!?いきなり……おわっ!?」
その手を引いてあたしは届くんをほぼ強制的に連れて帰った。
ちなみに、翼くんが帰るところをよく目撃していたあたしは、もちろん途中までは届くんの家の方向は分かっていた。
「……ここ、どこ?」
「お前、アホだろ?」
暴言を吐きながらも、知ってる道まで送ってくれた。