弟のくせに...。


「……千尋、戻るよ」


正直、あたしはショックを受けていた。

届に逃げられた。

あたし、嫌われたの?


あんなこと、おせっかいだったかな?

いろんな思いを巡らせて、教室に戻ると、ドアの前に届がいた。

それに翼くんや花音ちゃん、葵ちゃんもそこにいた。


三人の担当は午後なのに……そう考えているうちに、あたしは見てしまった。


花音ちゃんと届がペアで迷路の中に入る姿を……。


……うそ、届って花音ちゃんと……?


目の前が真っ白になった。


「すみれ?すみれどうしたの?」


見てられない。


「き、気分悪くなったみたいだから、保健室に行くね。千尋はちゃんと仕事しなよ……」
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