弟のくせに...。


「ちょ、マジ大丈夫?」

「へーき。ひとりで行けるから」


ただ、ショックが強すぎて、涙が今にも溢れ出しそうなだけ。

そうなれば、周りに迷惑をかけるだけなんだ。

保健室まで、保健室まで行けば、思いっきり泣ける。

カーテンで仕切って、静かに泣けるから……。


ショックだったんだ。


逃げるほどあたしが嫌いなのに、あたしが翼くんと同じ学校なのを知ってるのに、それでも来た。

それは全て花音ちゃんのために来たのかもしれない。


嫌いな人に会いたくなくても、好きな人に会いたい。

そう言われているようで、寂しくて、苦しくて……。


あたしじゃ、ダメなのかなぁ……?
< 16 / 88 >

この作品をシェア

pagetop