弟のくせに...。
そんな心配をしている間にも届との距離は縮んでいく。
既に彼の瞳はあたしを捕らえている。
その表情は、怖い。
捕まれていた手が手渡しされた。
「サンキュ、兄貴。行くぞ」
そのまま今度は届に引っ張られて行った。
翼くん、あなたはあたしの味方だと思ってたのに……。
学校の近くにある公園に寄った。
「ケータイ」
その言葉と一緒に、手を差し出してきた。
その手の上にケータイを置いた。
そして、なにやら操作をして……あ、あの形。
ケータイとケータイをくっつけるあの独特の形。
すぐにわかった。
赤外線通信してる……。
通信が終わったらしく、あたしにケータイを返してきた。