弟のくせに...。


そんな心配をしている間にも届との距離は縮んでいく。

既に彼の瞳はあたしを捕らえている。

その表情は、怖い。


捕まれていた手が手渡しされた。


「サンキュ、兄貴。行くぞ」


そのまま今度は届に引っ張られて行った。

翼くん、あなたはあたしの味方だと思ってたのに……。


学校の近くにある公園に寄った。


「ケータイ」


その言葉と一緒に、手を差し出してきた。

その手の上にケータイを置いた。


そして、なにやら操作をして……あ、あの形。

ケータイとケータイをくっつけるあの独特の形。

すぐにわかった。

赤外線通信してる……。

通信が終わったらしく、あたしにケータイを返してきた。
< 35 / 88 >

この作品をシェア

pagetop