弟のくせに...。


おみくじを引いた。

大凶だった。

ショックだった。


呆然と立っていたら、見覚えのある人と目が合ってしまった。

そしてそいつらはあたしのいる方に向かってくる。

目を、合わせたまま。


「久しぶり」


そいつらは、あのラブホ連行未遂事件の犯人たち。

今届は占いのお姉さんに捕まっちゃったみたいで話し込んでるみたい。

無視しないところを見ると、知り合いなのかもしれない。

どうしよう……。


「この前は翼の弟に横取りされたけど、今日こそは……」


そう言って伸びてきた手は、横から伸びてきた手によって止められた。


「譲ってくれたんじゃなかったの?」
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