弟のくせに...。


そこにいたのは、届だった。

話、終わったの……?


「……お、お前、なんで……」

「あれからそのままもらっただけだよ。ねぇ……まだ諦めてなかったの?」


その瞳はとても冷たくて、恐ろしくて、怖い。

見たことない、こんな届……。

そこにいつもの無愛想な表情はない。


「今すぐ立ち去らなきゃ……本気出してもいいんだけど、どうする?」


犯人たちは猛ダッシュで走って逃げて行った。

今の表情も、恐れられてる原因なのかもしれない……。


翼くんと同じ血が流れてるはずなのに、こんなにも違う。

気付けばあたしの目からは涙が溢れていた。


「届っ!」


その時聞こえた聞き覚えのある声。

届と正反対な声。
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