弟のくせに...。


「怖い?」

「なにが?」

「あの俺、初めて見ただろ」


それはあの今にも殺人始めてしまうんじゃないかってくらい怖い顔をした時のこと。


「……怖くないって言ったら嘘になる」


正直本気で怖かった。

向けられたのはあたしじゃないのに怖かったんだ。

向けられた本人たちはハンパなく怯えていた。


「でも、また助けてもらえて嬉しかった。ありがと」

「別に」


……あたしが怖がってるか気にしてたの?

それくらいじゃ、あたしは離れてあげないよ。


「花音、告白したって」


……いきなりで一瞬わからなかった。
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