初恋は君のために
引かれた反動で少し
後ろに傾いた私は
ワンテンポ遅れて
この声の主が誰なのかに気付いた。
「…アズマ」
普段呼ばない呼び方で
私をミナミと呼ぶから
てっきり…
でも聞こえて来た声は
紛れもなくアズマの声だと、
顔を見なくても分かった。
私が視線を合わせた先には
やっぱりアズマがいて
走って来たのか
少し息切れをしている
息切れをして少し額に汗をにじますアズマは
あまりに普段のアズマには似合っていなかった。