初恋は君のために
「ファイキの溜まり場から帰る時、たまに見かける女がいたんだ。
深夜なのに…
そいつはいつも1人で歩いてて」
ジンさんは思い出すかのように話し始めた。
「ただの遊び人かなんかだろうって思ってた。
あの日までは、」
私を包む手をし緩めた。
「その日は寒くて俺はアズマと車で帰ってた、
そしたらその日も女は歩いてて、でも そいつは空を見てた…
すげー冷たい。冷めた瞳で…」
ジンさんは悲しそうに
笑うと私に苦笑いを浮かべた。
「で、アズマもその女を見てたらしくって、
あの子ジンの目に似てるって言ったんだ。
それから俺はその女から目が離せなくなった。」
私は黙ってジンさんの
話を聞く。
「だからアズマがお前を連れてきた時、まぢで焦った。でもそれと同時にミナミのその瞳を直してやりてぇって思った。」