ママのスキャンダル!
「ジェリー・ナイト」は今までの9作までほとんどキャストが変わっていないというのも人気がある理由だった。

だから今回のようにたくさんの人物が新しく出演することはある意味凄い挑戦だと言われていた。

もっとも、今までの出演者が出て来なくなるのではなくて、それぞれが成長して登場するのだ。

生徒だった子供たちは親になったり教師になっていたり、教師だったものが年老いて隠居していたり、職業が変わっていたり。

そうしてキャストが成長した姿を見られるのもファンにとっては嬉しいことだった。

新しいキャストはほとんどがあたしと同じ生徒役の子供たちだ。

10歳から18歳まで、人種もいろいろだった。

エキストラもたくさんいて、撮影現場はいつも賑やかだった。

人見知りするあたしだけれど、顔を合わせるうちに友達もできた。

一番仲がいいのはジェリーの親友だった2人、マークとスージーが結ばれ、その間に生まれた双子の役の男の子、ジョンと双子の片割れの女の子、サリーだった。

もちろん実際は兄弟ではないけれど、同じブロンドの髪に青い目、白い肌。なんとなく似てるような気がするから不思議だった。

ジョンもサリーも日本にとても興味があるようで、あたしから日本の話を聞きたがっていたのであたしも自分の知っていることは一生懸命教えてあげた。

英会話もだいぶ上達して、友達との会話にも不自由ないくらいになっていた。

ジョンもサリーも明るくて親切で、ずっと一緒にいる内にまるで兄弟のような関係になっていた。

ママ同士も自然に仲良くなって、休みの日にもお互いのホテルを行き来したり、一緒に出かけたり。

人付き合いが苦手なママだけど、ジョンとサリーの両親に妙に気に入られて、たびたび家にも招待されていた。

ジョン曰く、

『沙羅のママってちっちゃくてかわいいから、猫みたいなんだよ。なんか見てると構いたくなるみたい。うちのママなんか沙羅のママに会うのすっごく楽しみにしてるんだよ』

とのこと。

サリーもママのことをかわいいと言っていた。

『沙羅と沙羅のママって姉妹みたいよね。うらやましいわ』

おしゃまなサリーらしい台詞だった。




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