ママのスキャンダル！

「ねえ、サラのパパってあのハリー・ローランドでしょ？彼って家ではどんな感じ？」

9月からこっちの学校に通い始めたあたし。

同級生はみんな大人っぽい子達ばかりで、すっかり気後れしていたあたしに初めて話しかけて来た女の子の言葉がそれだった。

「どんなって・・・・・別に、普通」

肩をすくめて応えるあたしを、じろじろと胡散臭そうに見つめる彼女。

ブロンドに青い目、背も高くて13歳とは思えないほどグラマーな彼女の名前はソフィア。

クラスのリーダー的存在みたいで、彼女の周りにはいつも取り巻きがいた。

はっきり言って、苦手なタイプだ。

「あんたって、ガキっぽいわよね。あのジェリー・ナイトの娘役だって言うからどんな美人かと思ったら・・・・・知ってる？あんたみたいなのをちんちくりんって言うのよ」

フン、と鼻で笑うようにそう言い放つソフィア。

後ろにはいつもの取り巻き。

「・・・・・あなたはいつもたくさん人を引き連れてるんだね」

「そうよ。みんなあたしのファンなの。ここでは、スターはわたしよ。あんたみたいながきんちょ、お呼びじゃないの」

「ふーん。じゃ、あたしは目立たないようにしてるから、ほっといてくれて結構」

ソフィアのこめかみがピクリと震える。

女の子のやっかみは結構怖い。

でも、いちいちびびってたらきっとこれから先やっていけない。

日本を発つ時―――

空港まで見送りに来てくれた友達が言ってた言葉を思い出す。

「沙羅、がんばってね。会えなくなっても忘れないから。どこにいても友達だよ。どんなに有名になっても、あたしにとっては同じクラスでいつもおしゃべりしてた仲良しの沙羅だから。向こうで友達ができても、忘れないで。もし意地悪されても、沙羅にはあたしっていう味方がいるってこと、忘れないで」

手紙を書くって約束した。

メールも送るって。

大人になれば疎遠になるかもしれない。

だけど、大事な友達の存在は、きっとずっと忘れない・・・・・。