ママのスキャンダル！

「Trick or treet！」

3人の声がきれいに重なる。

シンディとデイブに挟まれるように立っていたあたしを見てデイブの家族が固まっていた。

「パパ、ママ、紹介するよ。同じクラスのシンディとサラだよ」

デイブがそう言ってあたしたちを紹介しても口を開けたまま呆然としている。

デイブとシンディが顔を見合わせ、にやりと笑った。

「パパ！あのジェリーナイトのミリーだよ！今、彼女は僕のクラスメイトなんだ！」

デイブの声に、漸く我に返ったように瞬きをするデイブのパパ。

次の瞬間には、大袈裟に思える程腕を大きく広げ、首を振って叫んだ。

「なんて素晴らしいんだ！あのミリーが俺の目の前にいるなんて！デイブ、お前のクラスメイトだって？なんでもっと早く教えないんだ！」

「パパがそうやって興奮することわかってたからさ。学校まで乗りこんで来かねないもん。迷惑はかけられないよ。サラは友達なんだ」

「そうね、あなたの判断は正しかったと思うわよ。確かに、大興奮だわ。パパだけじゃなくって私も、ケイもね」

そう言って苦笑したのはデイブのママだ。

その隣に立っていたカエルの仮装をしたデイブの弟のケイは、まだ口をポカンと開けていた。

「それにしても、なんて可愛らしいのかしら！テレビで見るよりもずっと小さくて、目が大きくて、まるでお人形のようね！ねぇ、是非上がって行ってちょうだい！」

「ありがとうございます。でも、あの―――」

「駄目だよ、ママ。今日はこれからパーティーだって言っただろ？」

デイブの言葉に、デイブの家族がみんな揃ってがっくりと肩を落とした。

「残念だよ。じゃあ今度家へ遊びに来てくれるかい？日曜日はわたしも仕事が休みだし」

「はい、喜んで」

そう言ってあたしはデイブの家族全員と握手を交わし、デイブの家を後にしたのだった・・・・・。